

選ぶ基準は、色を届ける場所
Webに載せる案内と、会場で配る紙の案内。文字とレイアウトが同じでも、最後に色を見る環境は異なります。画面は光を出して表示し、印刷物は紙とインキに光が当たって見えます。同じ見た目を目指す場合も、出力先ごとに確認する必要があります。
RGBとCMYKは、色を指定する成分の違いです。「RGBなら鮮やかなデザイン」「CMYKなら落ち着いたデザイン」という作風の分類ではありません。淡い画面も鮮やかな印刷物もあるので、雰囲気だけで方式を選ばないようにします。
たとえるなら、材料の違う二つの台所で、同じ料理を目指すようなものです。同じ分量の数字だけを渡しても、材料が変われば仕上がりは変わります。色も数値だけでなく、どんな条件で扱うかを一緒に決めます。このたとえは、光とインキが同じ混ざり方をするという意味ではありません。
| 使う場所 | 最初に確かめる条件 | 最後に見るもの |
|---|---|---|
| WebページやSNS | 掲載先の対応形式と推奨条件 | 書き出して掲載する画像 |
| 印刷会社に渡す案内 | 商品・入稿方法・色設定の指定 | 指定条件での確認用データや校正 |
| 家庭や職場のプリンター | アプリとプリンターの設定 | 実際に使う紙へ出した試し刷り |
| Webと印刷の両方 | それぞれの受取条件 | 用途を分けて保存した二つの版 |
先に「どこへ渡すか」が分かると、保存画面の選択肢にも理由を持てます。形式そのものに迷う場合は、JPEG・PNG・SVGの用途と保存後の確認で、色設定とは別の判断を整理できます。
画面で使うなら、RGBを基本に考える
RGBはRed、Green、Blueの三成分です。CMYKはCyan、Magenta、Yellow、Blackの四成分で、一般的なプロセスカラー印刷に使われます。以下は成分を見分けるための模式図です。画面上の色見本を、印刷した色の見本として使うことはできません。
RGB:光の三成分
- R 赤
- G 緑
- B 青
画面に表示する色を指定する方式。成分の強さを組み合わせます。
CMYK:プロセス印刷の四成分
- C シアン
- M マゼンタ
- Y 黄
- K 黒
インキの割合を指定する方式。実際の色は紙や印刷条件にも左右されます。
RGB画像の数値には、色空間などの条件が関わります。CMYKも、同じ割合ならどの紙や印刷機でも同じ色になるわけではありません。方式名をそろえることは、結果をそろえるための条件の一部です。
画面用の制作ではRGBを基本にして、受取先が指定する色空間やファイル形式を確認します。画面で見るから何も確認しなくてよい、という意味ではありません。端末の明るさや表示設定によっても印象が変わるため、自分の制作画面だけで文字の読みやすさまで保証しないようにします。
また、「この緑を少し落ち着かせたい」という配色の調整は、RGBとCMYKの選択とは別の作業です。色相・彩度・明度を別々に動かす教材で、変えたい性質を切り分けてから、出力先の色を確認すると混乱しにくくなります。
印刷するときは、指定と変換の担当を確かめる
印刷用のデータを用意するときは、印刷会社の案内から、その商品と入稿方法に対応した条件を探します。「CMYKで渡す」「RGBのまま受け付ける」などの条件に加え、指定プロファイルや書き出し設定の有無を確認してください。
プロファイルは、色の数値をどの色として扱うか、どんな機器や出力条件を想定するかを伝える情報です。初心者のうちは、名前を片端から覚えるより、依頼先に指定があるかを確認する方が先です。知らない名前を選び直して、たまたま見た目が近くなった設定を採用しないようにします。
変換が必要なら、元の編集データを残したうえで出力用のコピーを作ります。ファイル名に「Web用」「印刷用」と用途を含め、変換前の版へ戻れる状態にしておきます。変換したファイルをさらに逆変換しても、最初の色を取り戻せるとは限りません。
このとき、色以外の入稿条件も分けて確認します。仕上がりサイズや塗り足し、文字の扱いが合っていなければ、カラーモードだけ正しくても完成データにはなりません。名刺の情報を組み立てる手順などで内容を整えたあと、依頼先のチェック項目へ進みます。
CMYKにすれば同じ色になる、という誤解
RGBからCMYKへ変換したとき、元の色をその出力条件では再現できず、見え方が変わる場合があります。色域とは、ある条件で表せる色の範囲です。RGBにもCMYKにも異なる色域があり、方式名だけで色の変化を一律に決めることはできません。
変化の確認には、対応する制作ツールのソフトプルーフを使う方法があります。想定する出力条件での見え方を画面上で確認する機能ですが、モニターや設定の影響を受けます。画面のプレビューが、実際に使う紙の色や手触りまで再現するわけではありません。
カラーモードと変換の基本は、Adobeのカラーモード解説で確認できます。この記事では個別アプリのボタン位置を共通の手順として扱わず、変換前に条件を確認し、別の版を保存する流れを基本にしています。
印刷の色が判断に大きく関わる制作なら、依頼先に校正方法を相談します。色校正は、色などの仕上がりを確認する工程です。校正にも方式や条件の違いがあるので、本番と同じ紙なのか、何を確認できる見本なのかを尋ねます。家庭のプリンターで出した紙は配置の確認に役立っても、別の印刷機の色を保証する見本にはなりません。
あえてRGBのまま印刷先へ渡す場合
印刷する場合でも、自分でCMYKに変換するとは限りません。RGBデータを受け付け、印刷側で変換する方法もあります。例えばコミグラのRGB入稿ガイドには、RGBのまま受け付け、印刷用に変換する処理が案内されています。
これは、すべての印刷商品が同じ条件で受け付けるという意味ではありません。注文する商品・オプション・入稿方式に対応した最新の案内を読みます。「別の会社では大丈夫だった」という経験だけで、今回の指定を飛ばさないようにしてください。
RGBを受け付ける場合も、画面の色がそのまま紙に出るという約束ではありません。誰が、どの条件で変換するのかが変わるだけです。色の変化が心配なら、注文前に確認可能な校正やプレビューについて尋ねておくと、渡したあとに判断を戻す負担を減らせます。
自分のツールで指定の変換ができない場合も、分からないまま別の設定に置き換えるより、対応する入稿方法を確認します。受け渡し条件が決まるまでは元データを保持し、印刷用として完成したとは扱いません。
変換前後に、五つの記録を残す
Web用と紙用の案内を用意する場面なら、次の項目を一枚のメモに残します。難しい設定名だけを並べるのではなく、どの版が何に使えるのかが後から分かる書き方にします。
- 用途:Web掲載、会場配布など、最終的に使う場所。
- 受取先の指定:対象の商品、入稿方法、参照した案内。
- 変換の担当:自分で行うのか、印刷側へ任せるのか。
- 保存した版:元データと、用途別の書き出しファイル。
- 確認した範囲:画面だけか、試し刷りか、依頼先の色校正か。
架空の展示案内を、Web用と会場配布用に出すつもりで条件表を作ってください。Web側と印刷側の欄に「必要な形式」「色の指定」「確認方法」を書き、まだ分からない項目には未確認と残します。
元データは別に保存し、指定を確認できた用途だけ書き出します。二つのファイルを並べ、色が変わった部分と、確認できていない条件をメモしてください。画面比較だけなら、その範囲での確認だと記録します。


変換は、受け渡す条件が決まってから行います。元の一枚へ戻れるようにして、画面用と紙用それぞれで確かめた範囲を残しておきましょう。
