作ることは、ずっと好きだった。
でも、作ったものを見せるのは、いつからか怖くなった。
青井ミナは、作ることは好きなのに、評価される怖さで手が止まるようになった29歳のデザイン初心者です。
修正のたびに色も文字も全部強くする姿は、会議で全員が同時にマイクを持つようなもの。声は大きいのに、誰の話を聞けばよいか分からなくなります。もちろんデザインは会議そのものではありません。このたとえが示すのは、要素の優先順位だけです。
中小企業で事務と広報を兼任し、会社のバナー、SNS投稿、チラシ、採用ページの簡単な修正を任されています。絵の得意さや専門学校の経歴ではなく、ノートを見やすくまとめたり、誰かに渡すカードを作ったりすることが、ミナの出発点です。
新卒の頃、時間をかけた社内イベントのチラシへ「学生っぽいね。ちょっと素人感あるかも」と言われてから、見せる直前に胸の奥が硬くなるようになりました。
「どこが悪いのか聞かれても答えられない」「私にはセンスがないのかもしれない」。そんな不安を抱えたまま、ある雨の夜に余白灯舎へたどり着きます。
そこは、失敗したデザインを笑わずに見てくれる場所。
そして、見えないデザインの違和感を少しだけ照らしてくれる場所でした。
プロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | 青井ミナ |
| 年齢 | 29歳 |
| 職業 | 中小企業の事務兼広報担当 |
| 役割 | 主人公 / 共感担当 / 読者の分身 |
| 学んでいること | 余白、配色、フォント、レイアウト、バナー制作、Webデザインの基本 |
| 苦手なこと | 作ったものを見せること、曖昧な修正指示、自分の制作物を説明すること |
| 好きなもの | 紙のノート、きれいなパッケージ、小さな雑貨屋、夜のカフェ作業 |
| 象徴するもの | 余白、ノート、見る順番、やり直せる勇気 |
ミナは、最初から優秀な主人公ではありません。
むしろ、よく迷います。
比べます。
落ち込みます。
全部を直そうとして、さらにわからなくなります。
でも、ミナにはひとつだけ強いところがあります。
自信がないままでも、やめられないことです。
作ったものを見せるのは怖い。
でも、ちゃんと作れるようになりたい。
誰かの役に立つものを、自分の手で形にしてみたい。
ミナの物語は、その小さな気持ちを、少しずつ育てていく物語です。
ミナが学ぶのは、センスではなく順番
彼女の悩みは、デザインの知識が足りないことだけではありません。
本当に怖いのは、作ったものを見せたあと、何を直せばいいかわからないことです。
「なんかダサい」
「もうちょっといい感じに」
「素人っぽい」
「もっと目立たせて」
そう言われたとき、ミナはすぐに色を変えたり、文字を大きくしたり、装飾を足したりします。
けれど、全部を強くすると、デザインはもっと苦しくなります。
ミナが学んでいくのは、魔法のようなセンスではありません。
どこから見ればいいか。
何を残して、何を弱めるか。
誰に、何を、どの順番で届けるか。
その「見る順番」です。
好きなもの
ミナは、派手なものよりも、手に取ったときに少し安心するものが好きです。
紙のノート。
手書きのメモ。
小さな雑貨屋のショップカード。
きれいに包まれた焼き菓子。
余白が気持ちいい本。
雨の日の静かな電車。
仕事帰りに寄るカフェの、端の席。
とくに、紙のものには弱いです。
気に入ったショップカードや紙袋は、捨てられずに引き出しに入れてしまいます。
「この色、かわいい」
「この余白、なんか落ち着く」
と思っても、最初はそれを言葉にできません。
でも、その小さな違和感や好きの記憶が、ミナのデザインを見る力の土台になっていきます。
嫌いなもの
ミナが一番苦手なのは、何を直せばいいかわからないまま否定されることです。
「センスないよね」
「なんか違う」
「とりあえずいい感じにして」
「もっと目立たせて」
こういう言葉を聞くと、ミナは反射的に自分を責めます。
自分の理解が足りないから。
自分に才能がないから。
自分が遅いから。
でも、余白灯舎で少しずつ気づいていきます。
曖昧な言葉は、受け取った人だけの責任ではありません。
「目立たせたい」の中にも、いくつかの意味があります。
- 一番先に見せたいのか
- 他の情報より強くしたいのか
- 背景に埋もれているのか
- そもそも情報が多すぎるのか
ミナは、言葉にできない指示を、少しずつ質問に変える力を身につけていきます。
苦手なもの
ミナは、次のようなことが苦手です。
- 自分の制作物を説明すること
- 途中のものを見せること
- 「なぜこの色にしたの?」と聞かれること
- 優先順位を決めること
- 断ること
- 値段を言うこと
- 褒められたときに、素直に受け取ること
特に苦手なのは、途中のものを見せることです。
ミナは、完成していないものを人に見せると、未熟さまで見られる気がしてしまいます。
だから、ひとりで抱え込みます。
ひとりで直します。
ひとりで迷います。
でも、デザインは本来、ひとりで完璧にしてから見せるものばかりではありません。
目的を確認する。
誰に届けるかを聞く。
最初に見せたい情報を決める。
途中で方向を合わせる。
そういうやりとりも、デザインの一部です。
ミナは、作品を見せる練習だけでなく、途中で相談する練習もしていきます。
子どもの頃のミナ
ミナは、子どもの頃から、きれいに並べるのが好きでした。
授業ノートの見出しを色分けしたり、プリントを順番にファイルしたり、友だちの誕生日カードにシールを貼ったり。
本人にとっては、ただ楽しいだけの時間でした。
絵が特別に上手かったわけではありません。
賞を取るような子でもありませんでした。
それでも、ミナのノートを見た友だちが、ある日こう言いました。
ミナのノート、見やすいね。
その一言は、ミナの中にずっと残っています。
「かわいい」ではなく、「見やすい」。
「すごい」ではなく、「わかる」。
今のミナはまだ気づいていません。
でも、その言葉こそが、ミナのデザインの原点です。
最高の思い出
高校の文化祭で、ミナはクラスの出し物の案内カードを作りました。
色画用紙を切って、文字を書いて、簡単な地図を入れて、小さなアイコンを描く。
今見れば、プロのデザインとは言えないかもしれません。
でも、廊下に貼った案内カードを見た隣のクラスの子が、こう言いました。
これ、どこに行けばいいかすぐわかるね。
ミナはそのとき、とても嬉しくなりました。
自分が作ったものを見て、誰かが迷わず動ける。
誰かの「わからない」が、少しだけ減る。
その喜びは、ミナの奥に残っています。
ミナが本当に作りたいものは、ただおしゃれなものではありません。
誰かが安心して進めるもの。
見た人が、次に何をすればいいかわかるもの。
言葉にならない気持ちを、少しだけ見える形にするもの。
それが、ミナのデザインの根っこです。
辛い過去
社会人になってから、ミナは一度、作ることが怖くなりました。
新卒の頃、社内イベントのチラシを任されたことがあります。
明るい色を使いました。
写真も入れました。
文字も大きくしました。
自分なりに、かなり時間をかけました。
けれど、上司から返ってきたのは、軽い一言でした。
学生っぽいね。ちょっと素人感あるかも。
たぶん、相手は深く考えていません。
何気ない感想だったのかもしれません。
それでもミナには、その言葉が残りました。
その日から、制作物を見せる前に、いつも同じことを考えるようになります。
また素人っぽいと思われるかもしれない。
また笑われるかもしれない。
何が悪いのか聞かれても、答えられないかもしれない。
作ることは嫌いになりきれませんでした。
でも、見せることが怖くなりました。
今の悩み
今のミナは、会社でデザインまわりの仕事を少しずつ任されるようになっています。
採用イベントのバナー。
SNS投稿。
社内資料。
チラシ。
Webページの簡単な修正。
専門職ではないけれど、なぜかミナのところに回ってくる仕事です。
「ミナさん、こういうの得意そうだから」
「Canva使えるよね?」
「ちょっといい感じにできる?」
頼られるのは、少し嬉しい。
でも、正解がわからない。
ミナは、検索します。
デザイン 初心者 何から
バナー なんかダサい
Canva 素人っぽい
余白 取り方
配色 ルール
言葉はたくさん出てきます。
余白。
配色。
フォント。
ジャンプ率。
視線誘導。
トンマナ。
でも、目の前のバナーをどこから直せばいいのかは、まだわかりません。
ミナに必要なのは、たくさんの用語を一度に覚えることではありません。
最初に見る場所。
次に考えること。
最後に整えること。
その順番です。
余白灯舎との出会い
ある雨の夜、ミナは会社で作った採用バナーを「なんかダサい」と言われます。
文字を大きくしました。
色を足しました。
ボタンを赤くしました。
ラベルも大きくしました。
それなのに、良くなった気がしません。
むしろ、画面の中のすべてが目立とうとして、息苦しくなっていました。
仕事帰り、ミナは駅から少し離れた古いビルの2階に、小さな灯りを見つけます。
そこにあったのが、余白灯舎でした。
古い作業机。
静かなスタンドライト。
壁に貼られた小さな紙片。
そして、失敗したデザインを笑わずに見てくれるアキラ。
ミナがバナーを見せると、アキラはこう言います。
センスがないんじゃないよ。
まだ、見る順番を知らないだけ。
その言葉が、ミナの物語の始まりになります。
ミナの中にある秘密
ミナは、スマホのメモアプリに「いつか作りたいもの」というメモを持っています。
そこには、こんなことが書かれています。
- 小さなお店のショップカードを作ってみたい
- 誰かのサービス紹介ページを作ってみたい
- 自分のポートフォリオサイトを作りたい
- 仕事帰りに学べるデザインノートを作りたい
でも、誰にも見せていません。
なぜなら、書いた瞬間に、少し本気になってしまうからです。
本気になって、できなかったら恥ずかしい。
人に言って、笑われたら怖い。
「副業したいんだ」と言って、何も進まなかったら情けない。
だからミナは、まだそのメモを隠しています。
でも、物語が進むにつれて、このメモは少しずつ変わっていきます。
「いつか作りたいもの」は、やがて「今、作っているもの」になります。
これからミナが学んでいくこと
ミナが学んでいくのは、デザインの魔法ではありません。
- 目的を決めること
- 誰に届けるかを考えること
- 情報の優先順位をつけること
- 余白で読みやすさを作ること
- 色を増やす前に、役割を決めること
- フォントを雰囲気だけで選ばないこと
- スマホで見たときの読みやすさを確認すること
- 修正指示を、質問で分解すること
- クライアントの「なんとなく」を言葉にしていくこと
ひとつずつ、ゆっくりです。
ミナは、第1話で急に上手くなるわけではありません。
第2話で完璧になるわけでもありません。
でも、前より少しだけ、見る場所が増えます。
昨日は「全部が悪い」と思っていたものを、今日は「まず見出しと余白から見よう」と思える。
昨日は「私にはセンスがない」と思っていたものを、今日は「目的がまだ曖昧なのかもしれない」と考えられる。
その小さな変化が、ミナの成長です。
未来のミナ
ミナの未来は、派手な有名デザイナーになることではありません。
もちろん、いつか副業としてデザインの仕事を受けるかもしれません。
ポートフォリオを作るかもしれません。
小さなお店のショップカードや、個人サービスのLPを手伝う日が来るかもしれません。
でも、ミナの本当の未来は、もっと静かなところにあります。
失敗したデザインを責めずに、どこから直せばいいか一緒に見つけられる人。
それが、ミナの最終的な姿です。
なぜなら、ミナ自身が、失敗したデザインを見せる怖さを知っているからです。
「なんかダサい」と言われた夜のこと。
何を直せばいいかわからず、全部を大きくしたこと。
画面の中のすべてが目立とうとして、息苦しくなったこと。
それでも、余白灯舎で、もう一度見ようと思えたこと。
その経験があるから、ミナはいつか、自分と同じように悩む人に言えるようになります。
センスがないんじゃないよ。
まだ、見る順番を知らないだけ。
ミナと他のキャラクター
ミナ × アキラ
アキラは、ミナにとって「作品を見せても怖くない大人」です。
ミナは、アキラからデザインの基礎を学びます。
でも、アキラはただ正解を教える先生ではありません。
アキラは、ミナが自分の目で気づけるように問いかけます。
このバナーで、最初に見てほしいものは何ですか?
ここは、本当に目立たせる必要がありますか?
文字が少し、苦しそうに見えませんか?
ミナは最初、その問いにうまく答えられません。
でも、アキラの前では、わからないと言っても大丈夫だと少しずつ思えるようになります。
そしてアキラもまた、ミナを通じて、かつて自分が忘れかけていた「作る楽しさ」を思い出していきます。
ミナ × リオ
リオは、ミナの友人であり、少しライバルです。
リオは明るく、発信が上手く、CanvaやSNSにも慣れています。
ミナから見ると、リオは自分よりずっと前に進んでいるように見えます。
リオが案件を取ったり、投稿に反応をもらったりすると、ミナは焦ります。
でも、リオにもリオの不安があります。
「テンプレでしょ」と軽く見られる怖さ。
数字で比べられる怖さ。
本当にプロとしてやっていけるのかわからない不安。
二人は、お互いに羨ましがります。
ミナは、リオの勢いが羨ましい。
リオは、ミナの丁寧さが羨ましい。
この関係は、ただ仲が良いだけではありません。
比べてしまうからこそ、本当に相手の強みを認められるようになっていきます。
ミナ × トウカ
トウカは、余白灯舎にある古いスタンドライトに宿るような存在です。
人間なのか、AIなのか、幻なのか。
ミナにはまだわかりません。
トウカは、デザインを魔法のように直してくれる存在ではありません。
答えを出すのではなく、見えない違和感を照らします。
たとえば、ミナのバナーにライトを当てると、
- 視線があちこちに引っ張られている
- 余白が詰まっている
- 色が全部強くなっている
- 見出しよりラベルが目立っている
- ボタンの周りだけが浮いている
ということが、漫画的に見えるようになります。
ミナにとってトウカは、少し怖いけれど、嘘をつかない存在です。
ミナ × レン
レンは、Webエンジニアです。
ミナにとって、最初のレンは少し苦手な人です。
なぜなら、レンの指摘は具体的だからです。
スマホで見ると、ここは読みにくいです。
このボタン、親指で押しづらいと思います。
画像の上に文字を置くなら、背景とのコントラストを見た方がいいです。
ミナには、その言葉が冷たく感じられることがあります。
でも、レンは作った人を責めているのではありません。
見た人、使う人、迷う人を守ろうとしています。
ミナがそれに気づいたとき、二人の関係は少し変わります。
見た目を整えるミナ。
使いやすさを考えるレン。
二人はぶつかりながら、Webデザインに必要な「伝わる」と「使える」の両方を学んでいきます。
恋愛は、まだはっきりとは始まりません。
でも、ミナにとってレンは、いつか「途中のものを見せるのが少し怖くなくなる相手」になっていきます。
ミナ × サヤカ
サヤカは、小さな焼き菓子店の店主です。
ミナが初めて「誰かのためにデザインする」相手になります。
サヤカの依頼は、簡単ではありません。
やさしい感じで。
でも、安っぽくはしたくなくて。
高級すぎるのも違うんです。
うちのお店らしい感じにしたいんですけど……。
ミナは最初、困ります。
でも、サヤカとのやりとりを通じて、デザインは見た目を整える前に、相手の言葉にならない想いを聞くことから始まるのだと知っていきます。
サヤカは、ミナが「学ぶ人」から「誰かを助ける人」へ変わっていく大切な存在です。
ミナ × マドカ
マドカは、ミナの会社の先輩です。
ミナに「いい感じにして」「もっと目立たせて」と言ってくる、現場のリアルを持ち込む人です。
マドカは悪役ではありません。
ただ、忙しい職場の中で、デザインの要望をうまく言葉にできないだけです。
最初のミナは、マドカの言葉をそのまま受け取って、全部を大きくしようとします。
でも、成長していくうちに、少しずつ聞き返せるようになります。
一番目立たせたいのは、イベント名ですか?
それとも応募ボタンですか?
今回は明るさより、信頼感を優先した方がよさそうですか?
ミナが変わることで、マドカとの関係も変わっていきます。
曖昧な指示を、デザインの会話に変える。
それも、ミナの大切な成長です。
ミナの口調
ミナの言葉は、基本的に丁寧で、少し遠慮があります。
自信がないときは語尾が弱くなります。
でも、本当に気づいたときは、短い言葉でぽつりと言います。
よく使う言い方
たぶん、こういうことですよね……?
私、また全部直そうとしてました。
何が悪いのか、わからないのが一番怖いです。
これなら、少し説明できる気がします。
まだ上手くはないけど、前より見えるかもしれません。
私、作るのが嫌いになったわけじゃなかったんですね。
言わせない方がいい言葉
完璧にわかりました!
私、才能ありますよね!
デザインなんて簡単ですね。
全部アキラさんの言う通りにします。
ミナは、すぐに正解へ到達するキャラではありません。
ミナは、読者と同じ場所から、少しずつ気づいていくキャラです。
ミナが出るおすすめの話
迷ったら、気持ちの始まりを知りたい人は物語、今の一枚を直したい人はガイド、手を動かして続けたい人はロードマップの順で選べます。三つ全部を一度に読む必要はありません。
第1話「なんかダサい」と言われた夜
会社で作った採用バナーを「なんかダサい」と言われたミナが、仕事帰りに余白灯舎へたどり着く、物語の始まりです。
デザイン初心者は何から学ぶ?最初に見るべき5つの基本
第1話のあと、ミナが「じゃあ、どこから見ればいいのか」を学ぶ最初の実践ガイドです。
目的、優先順位、余白、配色、文字とレイアウトの5つを、ミナたちの会話と一緒に整理します。
30日で進める初心者ロードマップ
知識を集めるだけで止まらず、一枚の制作物を目的からスマホ確認まで8回見直します。
